研究課題
基盤研究(C)
伝熱面間に高熱伝導率の金属線を多数設置すると、潜熱蓄熱における凝固時の伝熱促進に有効であるが、融解時は自然対流を抑制するため、伝熱劣化の可能性がある。そこで、伝熱面問の金属線が熱伝達に与える効果を調べるために、金属線を配置した水平流体層の自然対流発生臨界レイリー数及び伝熱特性を解析と実験により調べた。1.線形安定性解析…水平上下伝熱面間に円柱細線に配置した場合の多孔体水平流体層における自然対流の臨界レイリー数を線型安定性解析により求めた。円柱細線平行な、または直交する流れによる流動抵抗は、ストークス流れに基づく解析結果を用い、ダルシー流れを仮定した解析により臨界レイリー数を求めた。その結果、球を充填する場合と比べて、円柱線を設置する場合には、同じ浸透度に対しては臨界レイリー数が低くなることが示された。2.上記体系における自然対流発生のレイリー数、熱伝達特性を、実験により調べ、理論結果と比較した。流体としてシリコンオイル、円柱細線として塩化ビニル棒等を用い、気孔率は0.82-1の問で変えた。その結果、(1)気孔率が約0.97以上では臨界レイリー数Racは気孔率が1の場合の1707とほぼ等しいが、気孔率が0.97以下になるとRacは徐々に増加する。(2)自然対流発生後はRaとともにヌッセルト数も増加するが、気孔率が小さいと、Raの増加に対するヌッセルト数の増加割合も小さくなる。しかし、Ra/Racを用いると、ヌッセルト数は気孔率に依存せず、Ra/Racとともに増加し、ほぼ同じ曲線で表すことができる。(3)ダルシー流れが成立すると考えられる気孔率が0.82の場合について、臨界レイリー数Racの実験値と理論値との比較を行ったところ、実験値は約6000-9000、理論値は約4550であった。これらの一致は必ずしも良好とはいえないが、大きく違ってはいない。値の差異の原因としては、円柱細線にあたる流れの非均一性、実験装置側壁の熱伝導の影響等が考えられる。今後、円柱細線として金属線を使うことを検討している。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (4件)
第42回伝熱シンポジウム講演論文集 B232 II巻
ページ: 189
2005年度日本冷凍空調学会年次大会講演論文集B109
ページ: B109-1
42^<nd> National Heat Transfer Symposium of Japan, 2005 B232, II-189
Proceedings of the 2005 JSRAE Annual Conference B109-1