研究概要 |
静圧エアスピンドルユニットのロータの曲げ振動に着目し,ロータ構成部材の締結状態が振動特性に及ぼす影響を明らかにした.対象とするロータは,静圧エアスピンドルユニットのスラスト軸受面に対応するスラスト板2枚が,ジャーナル軸受面に対応するジャーナル部の両端に複数のボルトにより締結されている構造となっている.締結状態を表すパラメータとして,ボルト締結トルクおよびボルト締結部のざぐり径を考えた.供試ロータについて,打撃試験により伝達関数を求め,実験モード解析の手法を用いて固有振動数,モード減衰比,振動モードを求めるとともに,得られた測定結果から締結部の等価剛性および減衰を同定する手法を開発し,等価剛性および減衰を求めた. ボルトの締結トルクを高くするほど,また締結面の表面あらさおよびうねりが小さいほど固有振動数は高くなり,一方減衰比は小さくなる.そして,ロータの振動振幅の最大値は締結トルクが高くなるほど高くなるため,ロータの機能を損なわない範囲で締結トルクを小さくした方が振動低減に有効である.さらに,ボルト近傍に最適な径のざぐりを設けることにより,固有振動数および減衰比をともに高め得るため,振動振幅の最大値を小さくできる. 同定した等価剛性および等価減衰を用いて算出した振動特性は実験結果を良くあらわしていることから,提案した剛性および減衰同定手法は有効であるといえる.そして,ボルト締結トルクを高くするほど等価剛性および等価減衰は高くなるが,前者の上昇程度の方が大きく,ボルト近傍に最適なざぐりを設けることにより,等価剛性および減衰が高くなる.
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