研究概要 |
サスペンションシステムにおける剛性変動を表現するため,マルチボディダイナミクスを用いて線形パラメータ変動系を作成した.また,ストロークエンドでのサスペンション挙動の変動をシミュレーションにより確認した.これらの剛性変動に応じて現れる現象を把握し,タイヤと路面との接地状態を維持しつつ,サスペンションとしての機能を維持するために各部にどの程度の衝撃が加わるかを明らかにした. 次に,シミュレーション結果に基づき,剛性変動が縮み側で大きくなるようアクチュエータにより,剛性変動を再現できるように,実験装置の改良を行った.また,加速度センサの信号から,カルマンフィルタを用いて変位と速度推定を行うためのオブザーバ設計を行った. シミュレーション結果と実験結果に整合性があることを確認するとともに,このモデルに基づくハイブリッド制御系の設計を試みた.ストロークエンドに達したことを判断し,かつ,サスペンション剛性の大きさに応じて制御器を切り替える制御系を設計し,状態に応じて制御器の切り替えを行うことで,システム全体の安定性が確保されていることを計算機上で解析するとともに,シミュレーションを実行した. 最後に次年度以降の制御実験のための制御系の実装を行った.制御系の実装にはDigital Signal Processorを用いるが,システムの変動によって切り替えるハイブリッド制御系の実装に際して,切り替え時の制御器の状態の受け渡しについて検討した.
|