研究概要 |
本研究の磁気ダンパは,導体板の運動方向と直角方向の外部磁界が存在すると運動方向と逆向きにローレンツ力が発生する原理に基づいている.本年度まず,軸の一端を固定し他端に穴のあいたボール型磁石(直径19mm)を接着した磁石と,銅製の半球殻および銅製の円筒を結合した導体(以後,銅殻と呼ぶ)を組み合わせた簡易実験装置を製作した.ボール型磁石の発生する磁界は,3次元軸対称磁界であり,軸は,片持ちばりの軸と一致する.打撃試験を行い,振動波形から減衰比を測定した結果,減衰性能の良い磁気ダンパが構成できることが確認できた.次に,ジェフコットロータの円板の上方の軸部に,ボール型磁石(直径38mm)を接着した磁気ダンパ回転実験装置を製作した.打撃試験を行ない,減衰比を測定した.また,モデル化し,減衰比を計算した.その結果,解析結果と実験結果はよく一致した.同じモデル式で,昨年度実験した,導体側面板を付加した円形磁石回転型磁気ダンパの減衰比を計算したところ,実験結果と良く一致したため,本年度のモデル化が正しいことがわかった.ところが,同じモデル式で,ボール型磁石を使った簡易実験装置の減衰比を求めることを試みた結果,実験結果の減衰比が解析結果の減衰比よりはるかに大きいことが判明した.この結果から,簡易型実験装置には,別モデルを作る必要があることがわかった.来年度,簡易型実験装置の磁気ダンパのモデル化を検討する. 次に,磁気ダンパ回転実験装置で回転実験を行った.その結果,危険速度通過後もふれまわりが大きい,銅殻の発熱等の現象が起こった.危険速度以上で振動振幅が大きくなる原因はまだ不明であるが,銅殻の発熱は,ボール型磁石の穴と回転軸の中心線のずれが原因だと考えられる.来年度は,実験装置を改良し,回転実験を再度行う予定である.
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