研究概要 |
本年度は,すでに開発されているFORTRANにより記述された離散ホイヘンスモデル(DHM)解析コードをC言語へ移植した。これは,コードをシステムレベルにまで落としてDSPなどにより速度を追求するためである。開発されたコードで,どの処理がどの程度の計算時間などの計算資源を費やしているかを詳細に解析し,できる限りの最適化を行った。その結果,メモリを大量に消費する大規模問題の場合,最大で約2倍の速度で計算可能であることが示された。ただし,DHMではパルスの交換の際に変数のスワップが必要になり,メモリアクセスが頻繁になることから計算効率が低下する問題も明らかになった。また,最適化と同時に,MPIによる並列計算アルゴリズムを組み入れることにより,PCクラスタによる並列計算を可能にした。 つぎに,ロジック化を容易にするためのアルゴリズムについて検討した。可聴音響情報を扱う場合,音響信号の量子化は16bit PCM方式が一般的であるため,これに対応し,かつロジック化が容易なアルゴリズムを検討した。まず,これまで開発された2次元のデジタル等価回路を3次元に拡張し,その特性を詳細に検討した。その結果,2次元場の拡張で対応できることが示された。また,アルゴリズムに出現する整定数の除算をいかにロジック化するかがキーポイントになるため,そのためのアルゴリズムを検討した。その結果,計算を整数化することで,最大約1.5倍の計算効率の改善が図れることが示された。精度等の検討は,今後の課題である。
|