研究概要 |
グローブスキャンシステムセンサの感度解析を行い,さらにこれを用いて実際に物体を把持した時の各指に加わる把持力について考察した.把持力の分析の結果,以下のような結果が得られた。 (1)人間が物体を把持する時,最も力が加わる指は親指である. (2)硬い物体を把持した時 a)3本指で把持した場合,2本の場合と比較すると,親指・人差し指においてそれぞれ約30%,65%の把持圧力の減少が見られ,中指には大幅な負担の補助効果がある. b)4指,5指で把持する場合には,大幅な把持圧力の減少は見られず,物体の把持に大きく影響するのは親指,人差し指,中指であり,薬指,小指は補助的な働きをしている. したがって、機械的な指を制御し硬い物体を挟むようにして把持を行う時,フィンガの数は,3本で十分機能を果たせる. (3)柔軟な物体を把持した時 a)物体が変形し指から滑り落ちそうになった時,人間は指先に力を入れてこれを防ごうとする. b)柔軟な物体は力を加えても変形するため,硬い物体を把持する場合に比べ,加わる圧力は小さい. c)フィンガの数を2本から3本に増やした場合は約1.8倍の接触面積の増加が見られるが,その後,4指,5指とフィンガの数を増やしても,大幅な接触面積の増加は見られず,硬い物体の把持と同様に、最適なフィンガの数は3本である. これらの知見結果を元に、既に製作した3指を平行移動させて物体を把持するハンドの構造をやめ、指先を曲げて物体を把持し、かつ指先で力制御ができる3指の空気圧フィンガへの設計変更をすすめている。
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