研究概要 |
本研究では,ヴィークルの位置・姿勢制御用のアクチュエータ(スラスタ)を搭載し,ヴィークルへの反力が無視できないマニピュレータを有する水中ロボット(UVMS)を製作し,実験を通してUVMSの制御法開発を行ってきた. 最終年度は,まず,提案している連続時間および離散時間制御法の制御性能向上を目的とし,ロボット本体に作用する流体力のモデル化誤差のみを外乱として取り扱い,外乱オブサーバを付加した制御法を開発した.水中ロボットを用いた制御実験により,ロボット本体の制御性能が改善されることにより,マニピュレータ手先制御性能が向上することを確認した. つぎに,物体捕獲用ハンドを製作するとともに物体捕獲実験を行った.ハンドによる物体把持に伴う物理パラメータ変動にも関わらず,実験により提案制御法が良好な制御性能を有することを確認した. さらに,従来のUVMS制御法(計算トルク法)と研究代表者らが提案している制御法(分解加速度制御法)の比較検討を実験により行い,分解加速度制御法が計算トルク法よりも良好な制御性能が得られることを確認した.UVMSの計算トルク法は水中ヴィークルの制御法を拡張したものであり,幾何学的関係(運動学関係式)により作業空間における手先目標値に対応したマニピュレータ関節目標値を求め,関節空間における関節目標値と計測値の誤差に基づき,運動方程式を用いて関節制御トルクを計算する.一方,提案分解加速度制御法は,運動学関係式のみならず運動量方程式も利用し,作業空間の手先誤差に基づいたマニピュレータ関節目標値を求めている.したがって,分解加速度制御法では,流体力に関係した運動量方程式を用いており,また,作業空間での誤差に基づき制御入力が決定されるため,計算トルク法より良好な制御性能が得られると考えられる.
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