研究課題
基盤研究(C)
直流電気鉄道では、車両がレールの絶縁部を通過する際にレール端部と車輪との間でアーク放電が発生する場合があり、レールの溶損が問題になっている。本研究ではアークの発生を抑制するための装置を開発し、アークの抑制効果を確認した。以下に研究成果の概要を記す。1.電気車及びき電回路モデルの開発電気車がレール絶縁部を通過する際の現象を実験室内で模擬するためのモデルを製作した。電気車がレール絶縁部を通過する時間を含む数十ミリ秒の間に大電流を発生するパルス電源を製作し、アークの発生およびレールの溶損を模擬した。2.エネルギー吸収方式によるアーク放電抑制装置の開発レール間電圧を検知し、これが基準電圧を超えたときに別回路に電流をバイパスさせ、アークを発生させるエネルギーを別回路に消費させる方式によるアーク放電抑制装置を製作した。この装置はレール電圧検出部、エネルギー吸収回路始動スイッチおよびエネルギー吸収用抵抗で構成される。高速動作を実現するために、電界効果トランジスタを複数並列に接続したものを用いてマイクロ秒オーダの応答時間を有しキロアンペア級の通電に耐えるものとした。数値計算の結果、アーク放電が開始してから、ある一定の時間が経過するまでの間は電極の温度上昇による損耗はわずかであることが予想された。これに基づきエネルギー吸収回路の応答特性と、吸収継続時間の最適化を図った。レール電圧検出部がアークの発生を検知してから、エネルギー吸収回路が始動させるまでの間に動作遅れ時間を設け、この時間を変化させたときのアーク発生量の変化を発光量および電極表面の損耗によって調べた。その結果、動作遅れが、ある時間よりも短い場合はアークによるクレーター形成や溶融痕は見られず、アーク放電抑制装置が無い場合に比べてアークによる溶損を著しく減少させることができることが確認された。
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電気学会論文誌A Vol.126, No.7(印刷中の為未定)
IEEJ Trans.Fundamentals and Materials Vol.126, No.7(To be published)(in press)