研究概要 |
1 実験的研究 (1)試作した多くの発光管の点灯実験を行い,クラスター光源の発光特性を実験的に明らかにした。特に,種々のクラスター形成材と補助材を封入した発光管の点灯実験を行い,それぞれの発光特性を評価した。また,それぞれの発光管の測定データを比較・検討し,クラスター光源に最適な封入物質及びその封入量を決定した。 (2)クラスター形成材にはWO_2,MoO_3,Re_2O_7が適すること,Wクラスター光源に最適なクラスター形成補助材はNaBrであること,放電ガスにはNeAr混合ガスが適し,その封入圧は21.3kPaが最適であることを実証した。 2 理論的研究 (1)クラスター光源の発光特性を理論的に推定するために必要不可欠なクラスター形成材の複素屈折率の測定方法にエリプソエメトリーを提案し,エリプソメータを設計し構築した。そのエリプソメータにより,常温においてバルク状タングステンの複素屈折率を測定した結果,表面含有成分比や表面形状に起因する試料表面のエネルギー反射率の微小な変化をも測定できることを明らかした。さらに,測定精度については,精密率で評価して約1.0%であり,この値はクラスター光源の発光特性を理論的に推定する場合に,十分高い精度であることを考察した。 (2)エリプソメトリーによる複素屈折率の測定をクラスター光源に適用させるため,構築したエリプソエメータを金属微粒子の複素屈折率を測定する散乱エリプソエメータに改良して,その測定精度の検討を行った。常温において金微粒子の複素屈折率を測定した結果,その測定精度は標準偏差で評価して0.02以下であり,金属微粒子の複素屈折率測定に有効な手段であることを検証した。
|