研究概要 |
本年度は,昨年度に見出したε-FGMの創製条件に基づいて創製したFGMの熱的特性,電気的特性を調べると共に,遠心分離過程のシミュレーションコードの開発の3項目について研究を行った。 FGMの熱的特性を検討するために,様々なアルミナ充填率の傾斜を持ったFGMの熱伝導率,ならびに熱抵抗を検討した。先ず,様々な充填率で均質に充填されたペレット状材料の熱拡散率をレーザフラッシュ法による実測で求めた。この熱拡散率を元に熱伝導率とアルミナ充填率の関係を実験的に検証した。これらのデータを下に,様々な傾斜具合のアルミナ傾斜エポキシ樹脂の熱抵抗を数値的に計算し,傾斜具合と熱抵抗との関係を定量的に示した。 全固体変電所の高電圧接続器などでは,その接続部に固体/固体界面が表れ,電気絶縁上の弱点となる可能性が高い。FGM試料でモデル化した固体/固体界面を模擬し,傾斜の有無や傾斜具体と界面の雷インパルス絶縁特性を測定し,それらの間の関係を検討した。その結果,FGMを採用することにより,絶縁特性は向上するが,界面の凹凸の影響がかなり大きいことを示した。 任意の傾斜を持つFGM創製方法の開発を援用するために,遠心分離過程をシミュレートして,事前に充填率分布を予測できるシミュレーションコードの開発を行った。本シミュレーションプログラムでは,充填材粒径の累積頻度分布を忠実に再現したこと,粘性力の充填率依存性を組み入れたことなどの改良で,数値的に求めた充填率分布は,実験的に創製したFGMの充填率分布を精度良くし再現できることを示した。 今後は,これらの結果を元に,高電圧接続器など,全固体変電所の構築に必要な基礎技術へのFGM適用性を検討していく予定である。
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