高周波インバータのスイッチング素子としてSITを用い、100kHzの装置を試作した。最初の予定ではパワーMOSFETを使用する予定であったが、納期が平成16年10月で予定が遅れるため、平成16年度は既に準備してあったSITを用いてインバータ部を製作して研究を開始した。そのため、平成16年度は過熱蒸気発生用の電磁誘導加熱部となる負荷部の製作を重点的に行う事として、被加熱物としてカーボンセラミックスと磁性ステンレス板を用いた2種類の負荷部を製作した。カーボンセラミックスを用いた電磁誘導加熱部は、外形120mm、内径100mm、長さ400mmの電気的絶縁性パイプ容器の内部に被加熱物として、直径90mm、長さ90mmの円筒状のカーボンセラミックスを挿入し、伝熱面積を増やすために直径10mmの穴を14個、明けている。また、カーボンセラミックスを3個積み重ねて多段式にし、更に穴の位置を変えることで自然対流を起こさせ、移動流体の温度を均一化させる効果をもたせるように工夫している。また、磁性ステンレス板を用いた負荷部は、幅305mmの長方形の板を伝熱面積を増やすために波状にして渦巻き状に巻き、外側の外形が98mm、板と板との間隔を5mmにしたものを製作し、それをカーボンセラミックスの場合と同様に電気的絶縁性パイプ容器の内部に挿入した。 以上のような2種類の誘導加熱部を各々2台、合計4個を製作した。これは平成17年度以降、高周波インバータの負荷部となる電磁誘導加熱部2台を縦列接続して、流体を100℃まで加熱する高温発生部と、さらに300℃程度の過熱蒸気を発生させる超高温発生部で構成する事を考えている。2種類の誘導加熱部を製作した事で、両者の加熱特性の比較も行う予定である。実験では、2種類の負荷部に100kHz/2.5kWの高周波電力を供給し良好な加熱特性が得られる事を確認した。
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