研究概要 |
平成17年度の検討課題と成果を以下にまとめる。 1.回路方式などのハードウェア的観点からの検討 (1)PICマイコンによるMPPTコントローラの実現 電流誤差信号に基づく新しいMPPT手法(LCMPPT:リミットサイクルMPPT)の、太陽光・風力によるバッテリ充電器への応用例を示した。また実際にPICマイコンを用いてディジタル制御回路を実現し、実験結果をまとめて電気学会国際会議、産業応用部門大会で報告した。 (2)フライホイール付き誘導モータのすべり周波数制御型電力制御系の応答性評価 V/f一定制御を基本としたすべり周波数形簡易電力制御系を試作し、電力応答性を評価した。電力制御ループのPIゲインの最適値を探索した結果、電力のステップ指令に対する応答をほぼ時定数0.5[s]の1次遅れ応答とすることができた。風力発電における脈動電力の平準化には十分な実用性がある。 2.制御方式などのソフトウェア的観点からの検討 (1)複数台フライホイールユニットを用いる場合のシステム安定性の問題点抽出と解決法の検討 ディジタルシミュレーション(MATLAB, PSIM)と前年度に立ち上げたリアルタイムシミュレータ環境(HILSを含む)で各モジュールのモデルを構築した後、DCバス方式の自律分散電源モデルを構築し、DCバス電圧の挙動などの基本動作を確認した。2台のフライホイール式エネルギー蓄積ユニットを仮定し、負荷外乱に対するDCリンク電圧の振動を観測し、以下の点を明らかにした。(1)全く同じパラメータのフライホイールユニット2台を並列運転すると、相互干渉による振動現象を誘発する、(2)2台のユニットのHPFの遮断周波数が近いほど発生する振動の周期は長くなり、振幅が大きくなる、(3)それぞれの遮断周波数をある程度相互に離して設定すれば振動の減衰が速くなる。
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