研究課題
高性能・高機能化を要求する時代の流れに伴い、各種家電機器・OA機器をはじめ電力容量の増加する産業用に至るまでパワーエレクトロニクスの応用が盛んになされている。これにともない電圧・電流波形がひずみ、高調波電流、特に五次や七次等の低次成分が増大し、進相コンデンサ等電力用機器の障害さえも報告される場合もあることは、広く承知されている。問題となっているこれらパワーエレクトロニクスの応用装置は主として電力変換回路(整流回路)が多いが、その目的とする用途から今後ともあらゆる分野での増加が予想される。このため電力利用環境の悪化を招き、このことから生じる問題も将来にわたり益々増加してゆくものと予想され、公的機関によりガイドラインも策定された。これらの状況のもと使用機器側においてもさまざまな対策が検討され、実施されている。このような現況を背景に、本研究は配電系統において、半導体電力変換回路に基づいて発生する高調波の低減化を目的としており、従来より筆者が実施してきた研究継続をふまえ更にこれを発展させ社会的にも広く実用・実現化することを目的としている。これまでの主たる研究成果は、用いるスイッチング電源を中心とする半導体電力変換回路において各回路間の定数を変え高調波の位相をずらすことで互いの高調波を低減しあう方法であった。これらの研究成果をもとに、2年間に亘ってこの研究の更なる展開をはかった。電力変換回路の大幅な方式の変更などを行わない方式で特性改善を考え実験及び理論的検討を行なった。本研究ではこれらを社会的に広く実現させる事を念頭に、高調波問題の解決を目指している社会に対し新しい改善策の指針を示すとともに、この研究方式の発展を念頭に置いている。
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