研究概要 |
本研究では,交流発電機を用いた可変速小型風力発電機において風力エネルギーを最大限に有効活用し,小型風力発電機から最大かつ安定な発電力を獲得するための最大出力制御システムの構成法について議論している。一般には,風力発電システムの出力特性は,非線形性を有するとともに,風速に応じて大きく変化するため,最適動作点を決めることが難しい。本研究では,風車ローターに結合された単相交流発電機には風速に応じて最大出力を得られる風車ローターの最適回転速度が存在することに着目し,その風速-最適回転速度の関係を2次多項式近似して交流発電機の回転速度の調整を最適回転速度に合わせて行なうことを提案する。可変風速に適応するように,この調整をオンラインで実現するために発電ブレーキとして電子負荷を発電機と直結し,電子負荷を流れる電流を制御することにより発電機の回転を調節する。また,電子負荷の発熱損失を減らすためにPWM制御方式を導入する。そして,小型風力発電の実験システムを構成し,実機実験を行ない,実験結果を用いて本提案法の有効性,実用性と発電力の安定性を確認した。 同期リラクタンスモータを逆に活用すると,同期リラクタンス(Synchronous Reluctance, SynR)発電機になる。そのため,本研究では,永久磁石を用いずローターの磁気的突極性により発生するリラクタンストルクを活用する同期リラクタンスモータに対して有限要素法(Finite Element Method, FEM)を用いたSynRモータと表面磁石(SPM)同期モータの特性解析を行う。さらに,リアルタイムインタフェースを用いた同期モータの測定システムにより,解析対象となる同一の固定子を有し,しかも同一のギャップ長であるSynRモータとSPM同期モータの特性評価を行い,FEMの特性解析データを検討している。その結果,SPMモータの固定子鉄損のために,高速・低負荷運転時においては,SPM同期モータよりもむしろSynRモータの方がモータ損失の小さく,軽負荷・高速度運転の時間が比較的長いハイブリッド自動車用モータなどに適していることをFEMの特性解析及び計測実験の両方的に示す。よって,同期リラクタンス型風力発電機の高効率化に対して裏づけデータが得られた。
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