研究概要 |
本年度の研究成果: 近年,非枯渇性のクリーンなエネルギー源として風力発電が大きく注目されている。特に,一般家庭を想定した電力ネットワークの最小単位ミニマル・クラスターでは,小型風力発電機が重要なパワー源となり,小型風力発電機の最大出力できるかが一つの課題である。小型風力発電機の中,単相交流発電機を用いた風力発電機は設置が簡単・低価格・実用化・小型化などの特長を持っている。しかし,風力エネルギーは水エネルギーに比べてエネルギー密度が1/800しかないことや,風速変動の不規則性から,永久磁石同期発電機に対して様々な高効率制御法が提案されている。 本研究は,単相交流発電機を用いた可変速小型風力発電機において風力エネルギーを最大限に有効活用し,小型風力発電機から最大且つ安定に電力を獲得するための最大出力制御システムの構成法について議論している。一般には,風力発電機の出力特性は,非線形性を有するとともに,風速に応じて大きく変化するため,最適動作点を決めることが難しい。 本研究では,風車ローターに結合された直結式単相交流発電機には風速に応じて最大出力を得られる風車ローターの最適回転速度が存在することに着目し,その風速一最適回転速度の関係を2次多項式近似し,単相交流発電機の回転速度の調整をこの最適回転速度に合わせて行なうことを提案する。可変風速に適応するように,この調整をオンラインで実現するために発電ブレーキとしてFETデバイスを発電機と直結し,FETデバイスを流れる電流を制御することによって発電機の回転速度を調節する。さらに,FETデバイスの発熱損失を減らすため,FETデバイスに対してPWM制御方式を導入する。さらに,可変速小型風力発電機の実験システムを構成して実機実験を行う。最後に,実験結果を用いて本提案法の有効性,実用性と獲得電力の安定性を確認する。 また,有限要素法を用いて同期リラクタンス型発電機を設計して開発し,「同期リラクタンス型発電機」の特許を申請した(特願2006-248703)。同期リラクタンス型発電機に対して数理モデルは開発され,さらに,LPV制御モデルが新たな構築されました。しかし,風の変動速度に依存した同期リラクタンス型風力発電機の可変パラメータは測定値との誤差が大きくて時々変わり,同期リラクタンス型風力発電機の特性を詳しく測定する必要となる。また,予算と時間の制約などの原因により,同期リラクタンス型風力発電機にLPV制御系を実装することができなかった。
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