大気圧低温プラズマを用いてZnO薄膜を成膜した場合、成膜は上部電極に開けられた原材料を含むガスを噴出すためのスリット(20mm×1mm)の直下を成膜領域として膜の堆積が起こり、成膜速度を上げていくとZnO薄膜の結晶粒径は小さくなり膜の結晶性は悪くなる傾向にある。そのためここでは、電極のサイズを大きくせずに成膜領域を広げることにより、結晶粒径を維持したままトータルとしての成膜速度の向上を図るために、どのようなスリット構造とすればよいか検討を行っている。 本年度は、20mm×1mmのスリットを1mmの間隔で2本開けた場合について、プラズマの発光分析、膜厚分布、結晶粒径などの検討を行い、次のような結果を得た。 1.発光分析の結果より、スリット間においても他の電極部分と同様にプラズマが発生している。 2.スリットが1本の場合よりも、膜厚の不均一が発生しやすくなるので、膜厚の均一性を向上させる工夫が必要どなる。 3.ZnO薄膜の結晶粒径が40nm以上となるトータルの成膜速度は1本スリットの場合の約1.3倍程度に向上したが予想した成膜速度まで速くはならなかった。
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