研究課題
本年度は、時間領域サンプリング測定を用いた実験により、下記のような知見を得た。1)金属メッシュフィルタ板の厚さが波長に比べて薄くなると、個々の孔の導波管的な性質が消失して、エバネッセント的な透過が顕著に現れる。従来フィルタに用いられていた適度に厚いもの(0.2THzに対して500μm)では急峻な遮断により、斜め入射に対して透過率の低減を引き起こすが、厚さを10分の1にしたものでは、遮断特性が消失し斜め入射でも十分な透過が得られた。本研究で意図する構造においては、半導体からの様々な方向への放射に対応してその制御を行うことが目的で、かつ、金属薄膜を用いるので、この知見は有用である。2)金属メッシュフィルタ板のTHz波透過率に、表面プラズモンが寄与していることを実験により確認した。当初、微小開口配列において報告されていた現象であるが、孔の径が大きく、板が薄い場合にはその寄与が顕著となる。目的とする構造においては、金属薄膜メッシュを用いるので、表面プラズモンを含む表面波モードの寄与により、誘電体界面での電磁波に対する境界条件の変化を実現できる可能性がある。3)実際に、新しいTHzエミッタの基本構造を試作し、その特性を評価した。半導体内部で発生するテラヘルツ波は大きな放出角への強度が強いが、スネルの法則による臨界角により強度が制限される。金属メッシュは、予測の通り誘電体界面での電磁波に対する境界条件を変化させ、臨界角を超える角度への放射を取り出せることがわかった。
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Jpn.J.Appl.Phys. 45・5A(accepted for publication)(印刷中)
Journal de Physique IV 1(accepted for publication)(印刷中)
Collected Abstracts of 2006 RCIQE International Seminar (Sapporo, February 9-10) 1
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Jpn.J.Appl.Phys. 44・49
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電子情報通信学会技術報告 ED2005-62
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