本研究計画は、所望の周波数・波形・波長数を持つ光信号源の実現手法の開発と評価であり、今年度は前年度の研究の継続によって以下のような成果を得た。 前年度の研究成果である、パルス幅可変多波長10GHzクロック光源の評価を伝送実験によって試みた。波長分散が-100ps/nmから460ps/nmまでの値を取る伝送路において、分散値に応じてパルス幅を可変することによって、最適な受信感度が得られることがわかった。このようなパルス幅の最適化によって、通常のNRZ(non return to zero)やRZ(return to zero)形式の信号に比べて受信感度が最大で4dB程度改善出来ることが明らかになった。さらに、生成された16チャンネル信号を、累積分散460ps/nmの長さ70kmの伝送路を伝送させた場合は、全てのチャンネルにおいてNRZと比較すると受信感度が1.5dB改善できた。 半導体光増幅器の別の応用として、波長変換を利用したクロック光の生成法の着想を得て、波長1460nmから1610nmにわたる広い波長帯域においてパルス幅20psの繰り返し周波数10GHzのクロックを、高い信号対雑音比において生成することにも成功した。 前年度に引続き、単一偏波単一周波数光ファイバレーザを用いた周波数同期低雑音光源の実現を試みた。外部注入光と発振光の出力を1mw程度に制限することによって、周波数の制御が可能なことがわかった。波長1545nmから1560nmの帯域内で低周波数度リフトの波長可変動作が実現でき、本手法の有効性を確認した。 広帯域白色光を用いた多波長光源に関しては、種となる光パルスとしてパルス幅が従来よりも一桁小さい1.3psのものを用いた結果、より広帯域で平坦性に優れたスペクトル特性を得た。現在、生成される多波長光の詳細な評価を行っている。
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