研究概要 |
本研究はSi基板表面に光電子集積回路を実現することを目的として,まず,低伝搬損失かつ良好な光デバイスと光の結合効率が期待できる,Si基板埋め込み型光導波路の開発を目指して実施した。導波路は多孔性Siの酸化により,屈折率が異なる同軸SiO_2層で構成することを考えた。 濃度2.5%のHFに適当な反応促進剤を添加して,電流密度96mAcm^<-2>の条件で,陽極酸化法により多孔性Siが形成できた。導波路作成には,Siの酸化による体積膨張で細孔部分が埋められるよう,多孔度は55%,ドーピングによりコア部とクラッド部の屈折率差をつけるために細孔径はクラッドよりコアのほうが大きいことが望ましい。 高HF濃度での化成では化成部の厚さは変わらず細孔径が大きくなる。高電流密度の化成では,細孔径は変わらず,化成部厚さが厚くなる。また,多孔性Siは,通電しなくても溶液中に溶出し,化成時間の増加に対しては,細孔径,化成部厚さ共に増加する。更に,メタノールやエタノールの天下により化成部表面粗さを減らすことが出来る。 最終的な導波路の形成にまでは至らなかったが,本研究で得られた知見を基に,陽極化成途中でHF濃度を変え,その後通電を止めて溶出させることにより所望の細孔分布を持つ膜が形成できると考えられる。 今後は,これまで本研究とは別に進めてきたSi基板上の発光素子の研究成果を併用し,光電子集積回路による平面型の光ニューラルネットを実現を目指す。
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