研究課題
基盤研究(C)
真空ナノエレクトロニクスデバイスの基幹素子である微小電子源の低電圧駆動化、高電流密度化、放射電流の面内均一性の向上、製作プロセスの簡易化を目的として、レーザーアブレーション法を用いたシリコンナノ・微結晶構造の形成と、シリコン微結晶膜からなる平面型エミッタの開発と動作特性について検討を行った。以下に主な結果をまとめる。1.Nd:YAGレーザー(4倍波:波長266nm)を用いたレーザーアブレーション法によりシリコンナノ・微結晶膜を形成し、2極構造(間隙:9μm)により電子放射特性を測定した。その結果、アノード電圧10V程度の低電圧からエミッション電流が観測された。また、平均電流3nA時の電流変動は15%以下と比較的安定であった。基板表面上に多数のナノサイズのエミッションサイトが形成されたため、しきい値電圧および電流変動が低減したものと思われる。これらの結果より、低電圧駆動化、安定化には、ナノ構造が有効であることが確かめられた。2.シリコン微結晶構造からなる平面型エミッタの製作について検討を行った。シリコン微結晶表面には、酸素ラジカルビームの照射により極薄酸化膜を形成した。動作実験の結果、ゲート電極の仕事関数付近の低電圧から電子放射を観測し、電子放射効率約0.5%を得た。放射電子のエネルギー分布を分析した結果、多くの電子は、MOSトンネル陰極同様、シリコン微結晶膜中およびゲート電極膜中において大きく散乱を受け、エネルギーを失っているとの知見を得た。今後、シリコン微結晶のサイズ、酸化条件、ゲート電極の膜厚の最適化を行い、放射電流量および放射効率の改善を図ると共に、電子放射機構について検討を行う予定である。
すべて 2006 2005
すべて 雑誌論文 (8件)
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