研究課題
基盤研究(C)
本研究は、低電圧駆動アナログ設計技術、低消費電力駆動アナログ設計技術、およびアナログシステムLSI自動化設計技術、の3つの要素技術の確立により達成できる。本年度は、低電圧駆動アナログ設計技術、低消費電力駆動アナログ設計技術の確立に関する研究を行った。低電圧駆動アナログ設計技術に関しては、情報通信用アナログ集積回路を実現する際の要素回路である低電圧駆動の掛け算回路の設計、および回路シミュレータを用いた回路動作の検証を行った。電源間に2対のMOSFETを接続し、出力端子をカレントホロワ回路を用いて定電圧化することで、コンパクトかつ高速動作が可能な新しい掛け算回路を実現した。動作電圧0.6Vの達成はできなかったが、次世代携帯機器への応用が十分に可能な性能を持つ要素回路が実現され、国際会議でその研究成果を報告した。低消費電力駆動アナログ設計技術に関しては、MOSFETを弱反転領域で動作させた場合の温度依存性を補償することを目的としたオンチップ温度センサの実現を試みた。MOSFETを弱反転領域で動作させた場合の温度による不安定性を実測により評価する実験を行うとともに、オンチップで温度の計測を行うセンサー回路の設計を行った。提案回路は、基準電圧源回路と温度センサ回路で構成されている。どちらもMOSFETのドレーン電流が温度に依存しにくい動作点である、ゼロ温度係数点を利用した新しい原理にも基づく回路である。-50度から200度の範囲で線形に動作するオンチップ温度センサが回路シミュレータ上で実現された。この研究成果を、国際会議で報告するとともに、電子情報通信学会論文誌に公表した。現在、試作を行い回路特性の測定を実施している。アナログシステムLSI自動化設計技術に関しては、研究計画に基づき、次年度以降の研究を予定しているため、これに関する成果は現在のところ得られていない。これらの成果により、0.6V電源駆動の実現以外の研究目標について、今年度の実施計画はほぼ達成された。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
IEICE Transactions on Fundamentals of Electronics, Communications and Computer Sciences E88-A・2
ページ: 476-482
in Proceedings on the 2004 IEEJ International Analog VLSI Workshop Vol.1
ページ: 1-6
ページ: 67-72