本研究は、低電圧駆動アナログ設計技術、低消費電力駆動アナログ設計技術、およびアナログシステムLSI自動化設計技術、の3つの要素技術の確立により達成できる。本年度は、低消費電力駆動アナログ設計技術の確立に関する研究を行った。自動化設計技術の検討については、今後の課題を検討するにとどまった。 低消費電力駆動アナログ設計技術に関する研究としては、0.18μmCMOSプロセスののもとで携帯用アナログ集積回路を実現する際の要素回路である、オンチップ温度センサーの設計及び、低消費電力のオンチップ電圧検出回路の設計ならびに、弱反転領域で動作するPTAT回路等の試作評価を行うと共に、昨年度からの課題となっていたカットオフ状態のMOSFETにおけるリーク電流低減手法について学会発表を行った。 オンチップ温度センサーの設計においては、弱反転領域で動作するMOSFET温度特性を利用して温度をパルス幅に変換する技術を用いることで、電源電圧変動に対しても安定で汎用A/D変換を必要としないオンチップ温度センサーを実現できることが確認できた。低消費電力のオンチップ電圧検出回路の設計においては、電源入力型のCMOSインバータを用いた新しい構成方法を提案し、最低動作電圧0.6V、動作電流30nAの微小電力電圧検出器を実現した。カットオフ状態のMOSFETにおけるリーク電流低減手法については、カットオフ状態のMOSFETの電圧電流特性を、拡散電流式を基本としたリーク電流として解析する手法を提案した。
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