本研究の目的は半導体光増幅器(SOA)の相互利得変調(XGM)を用いたタンデム波長変換型の光トライオードを利用して、光メモリシステムを構築することである。本年度は本光トライオードの性能を向上することに注力した。一般的には、相互利得変調は消光比が小さいという課題があるもののSOAに対して信号光とCWプローブ光を入力するだけであり簡易な構成で実現できる。そこで、提案者は一端が反射タイプのReflective SOA(RSOA)におけるXGMを2段用いたタンデム波長変換型の光トライオードを提案し、エレクトロニクスの三極管に相当する入出力特性が得られることを示した。すなわち、第1のRSOAにおいて波長λ_1の入力信号光の強度変化を波長λ_2のプローブレーザー光に一度波長変換し、さらに第2のRSOAにおいてλ_2のプローブ光に波長λ_1(λ_3でもよい)の制御光を重畳することによって、微小な制御光パワーで入力光信号を増幅してλ_1(またはλ_3)の出力光を得る方式である。本方式のデメリットの一つとしては、入力光と制御光の信号の外にCWのプローブ光が必要なことであった。本研究では、このCWのプローブ光の代わりに第1のRSOAで発生するλ_1の局囲の自然放出光を利用することによってプローブ光を不要とした。したがって、信号光としては入力光および制御光のみを入力して、出力光を得る光信号の3端子増幅素子(光トライオード;Optotriode)を実現した。 光メモリシステムについては、初期的なファイバループタイプのシステムを構築して、動作することを確認した。
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