研究概要 |
ナビゲーションシステムの発達に伴い方位センサに使われる磁気センサの開発が進んでいる。このセンサには原理が簡単で小型、廉価であることが必要である。 我々は、水晶振動子などの電歪層とアモルファス磁性薄帯の強磁性層からなる複合振動子を考案した。このセンサでは、外部磁界に感応する出力信号が周波数変化Δfとなるため、電子回路への組み込み,小型化が容易な特長がある。本報告では、センサの感度の要因を探るために、電歪常数が水晶に比べると約30倍のLiNbO_3 (LN)を電歪層として用いた複合振動子を作製し、実験と解析を試みた。 磁歪・電歪層からなる複合振動子について、磁気センサとしての特性を決定する要因を明確にするため、電歪層からの機械的振動による磁歪層のΔE効果について、異なる圧電定数を持つ電歪層からなる振動子を作成して実験した。その結果、ΔE効果とΔfの関係式を導出することによって、ΔfからΔEのH_<dc>依存性などを推測することが可能になった。その結果を本実験の複合振動子に適用した結果、ΔE効果は2%以下と推定できた。また、電歪常数の大きさがΔEに直接反映されていないことがわかり、磁歪層の直接形成など、今後改善すべき点を明らかにした。本研究では便宜的に接着材を用いたが、薄い電歪層を基板として高磁歪スパッター膜などを直接形成することにより、接着の問題はなくなり、薄膜化により電歪層と磁歪層の接着層の問題を解決しまた微小化が可能になると考えられるので、次年度に検討の予定である。また小サイズ化によってモジュール化を検討する予定である。
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