研究概要 |
平成16年度は申請した研究計画に基づいて以下の研究を行った. 1.電力線通信が他の通信へ影響を発生させる干渉モデルの検討 1.1 電子機器の動作状態が電力線通信信号の伝搬特性に与える影響の検討 電力線にはさまざまな電子機器が接続されている.これらの電子機器は動作状態により負荷インピーダンスが変化をするため伝送特性に影響を与える.そこで,まず電子機器の動作状態での負荷インピーダンス測定法の検討を行った.その結果,PC等の妨害波対策を実施している機器については対策用のフィルタの効果によりインピーダンス変化が小さいが白熱電球等の対策の必要がない機器はインピダーンス変化が大きいことがわかった. 1.2 有線通信への影響の検討 高速電力線通信と通信帯域が重複するVDSLと電力線通信信号との干渉特性の評価を実施した.検討では代表的な屋内電力線であるVVFケーブルとUTPケーブルを8ポートの回路網で表し,誘導信号レベルを求め,測定結果と比較を行った.また,この結果より影響の発生する条件を求め干渉実験を行った.その結果,1)干渉の発生は8ポート回路網を用いた解析により予測できること,2)悪い条件が重なれば干渉が発生する可能性があることが分かった. 1.3 放射電磁界強度解析精度の改善法の検討 電力線から放射される電力線信号強度の解析精度を改善するため,これまで精度上問題があった,導体間および導体大地間の容量を数値解析により求めることにより高精度化を図った.その結果,解析値と測定値の偏差を4dB以下にできるようになった. 2.電力線通信信号の通信への影響の評価法 短波帯の放送に使用されている代表的な通信方式であるAM変調波に電力線通信信号を干渉させて,その影響の評価を行った.評価は,音楽やアナウンス等のサンプルに対して影響の度合いを主観評価(Mean Opinion Score)で行った.また,比較ためにホワイトノイズと1kHz80%変調波も妨害波として使用した.入力レベルは準尖頭値で評価を行った.現在測定データの評価を実施している.
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