研究概要 |
平成17年度は申請した研究計画に基づいて以下の研究を行った 1.電力線通信が他の通信へ影響を与える干渉モデルの検討 1.1 電子機器の動作状態が電力線通信信号の伝搬特性に与える影響の検討 電子機器は動作状態が変化すると電源ポートの負荷インピーダンスが変化するので,配電線を通信媒体として使用する電力線通信に影響を与える.そこでその対策方法を検討し,電子機器の電源ポートにコモンモードチョークコイルを接続することにより,この影響をほとんど無くすことが可能なことを示した. 1.2 有線通信への影響の検討 通信線と電力線間および電力線間の誘導特性は,有限要素法を用いて導体間の容量を正確に求めることにより,測定値とほぼ一致する結果が得られることを示した.これにより,ケーブル高やケーブル間隔を変化させた時の誘導特性を計算により求めることが可能となった. 1.3 配電系の平衡度に与える影響の検討 平衡度は電力線通信が電磁環境に与える影響の評価尺度として認められているので,電子機器の動作状態が平衡度に与える影響を検討した.その結果,解析により平衡度に与える影響の評価が可能であることがわかった.また,動作状態変化による影響はあるものの,配電系自体の平衡度があまり良くないので,平衡度の良い電子機器であれば動作状態変化が配電系の平衡度に与える影響は小さいことを明らかにした. 1.4 放射電磁界強度解析精度の改善法の検討 導体と大地間の容量を有限要素法で求めることにより,コモンモード入力インピーダンスや平衡度を高い精度で解析可能であることが明らかとなったので,この方法を用いて,ケーブルから漏洩する磁界強度の解析を行った.その結果,解析結果は測定結果とほぼ一致し,この方法により配電線から漏洩する磁界強度の解析が可能なことがわかった.
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