研究概要 |
1.電力線通信が他の通信へ影響を与える干渉モデルの検討 1.1 配電系の回路網によるモデル化 配電線,通信線およびこれらに接続される電子機器,通信機器を含む一般家庭の配電系を4ポート回路網,8ポート回路網でモデル化する方法を検討した.配電線,通信線については,絶縁被覆の誘電率を考慮して,導体と大地間の単位長当りのアドミッタンスを有限要素法により求めることで,従来に比べ高い精度で大地を含む配電線をモデル化可能であることを示した.機器のモデル化については,動作させた状態での入力インピーダンス評価法を明らかにして,家庭内にある機器の分類を行った.その結果,機器全体の20%は動作させることにより20%以上インピダーンスが変化することがわかった.また,測定結果に基づいて動作状態を含めて機器をモデル化して機器の動作状態が信号伝送に与える影響を評価した.その結果,与える影響はそれ程大きくなく,それも機器の電源ポートにフィルタを挿入することにより対策可能であることがわかった. 1.2 通信機器の信号受信端における妨害波電圧レベルの解析 通信線,配電線を8ポート回路網でモデル化を行い,電力線通信信号が通信機器の通信ポートに現れるレベルの解析を行い,同じ通信帯域を使用するVDSL通信への影響を評価した.その結果,通常の条件下では影響を及ぼさないことがわかった. 1.3 放射磁界強度の解析 精度を改良した4ポート回路網で配電系を表し配電線から漏洩する電力線通信信号成分の放射磁界強度解析を行った.分岐のある簡単な配電系モデルを用いて放射磁界強度を測定して解析結果と比較た結果,両者は良く一致することがわかった. 2.電力線通信信号の通信への影響評価 電力線通信信号とAM音声波を混合させ,主観評価により,通信への影響を評価した.その結果,電力線通信信号の影響は他の妨害波と同様に準尖頭値のレベルで評価できることがわかった.
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