面発光レーザは、半導体基板と垂直に発光するレーザであり、その出射ビームは円形であって、光ファイバとの結合に都合が良い、また、二次元的に多数の素子を配列することができ、並列光通信による大容量化にも適している。面発光レーザは従来800nm帯のものに限られており、光ファイバの特性上、高速・大容量には適していなかった。しかし近年、1300nmや1500nm帯のものが研究され、昨年市販されるようになった。これにより、分散や損失の少ない波長帯が利用できるようになり、高速・大容量通信への道が開けた。これらは長波長面発光レーザと呼ばれている。一方、ファイバグレーティングは光ファイバに紫外レーザ光を照射して回折格子を書き込んだ素子であり、特定の波長の光のみを反射するフィルタとして、半導体レーザの波長安定化や狭帯域化の目的で盛んに応用が行われている。 本研究では、長波長面発光レーザとファイバグレーティングとを結合し、発振スペクトルの狭帯域化ができることを示した。平成16年度は従来型の短波長の面発光レーザを用いて発振スペクトルの狭帯域化を行い、平成17年度は1310nmの長波長面発光レーザを入手して、その発振特性を研究し、シングルモードファイバ上にファイバグレーティングを形成してレーザと結合し、発振スペクトルの狭帯域化を行った。ファイバグレーティングを用いない場合85pmであったスペクトル半値幅が64pmに減少し、25%程度狭帯域化が得られた。現在これを用いたデータ伝送特性の測定の実験を試みている。 また、ファイバグレーティングの特性向上と形成機構の解明のため、製造上不可欠な高圧水素処理に着目し、光ファイバ中の水素分子の挙動を、有限要素法解析および長周期グレーグレーティングの形成実験により明らかにした。
|