研究概要 |
一般化直交変調方式は多次元空間の回転を用いて変調方式を定義するもので、回転平面と回転角の系列からなる変調パラメータを変更することにより、従来の時分割多重、符号分割多元接続方式や直交周波数多重方式を表現できると共に、通信路妨害に対して最適化を行うことが可能である。 前年度には周波数選択性フェージング存在下においてもマルチユーザ干渉の影響を受けない多元接続型の一般化直交変調方式の条件を明らかにした。本年度は,まず,この条件を満足しつつ,かつ,2つの妨害要因に耐性のある多元接続と変調方式の探索を行った.一般化直交変調方式では変調方式を回転行列で表現するが,この行列をそれぞれ重みづけられた小行列で表現すれば,小行列と重みのみからなる行列の2種類の行列を独立に回転させてもマルチユーザ干渉の影響を受けない.そこで,例として3ユーザと3シンボルブロックの同時接続を考え,2つの妨害要因としてレイリーフェージングと先行2シンボルからの符号間干渉を採用した.これらに対して2つの行列を信号点間最小距離が最大となるように独立に最適化した結果,時分割多重と比較して信号転換の最小距離で4.3dBの利得があることを明らかにした. 次に,受信機において一般化直交変調方式の変調パラメータを推定することを目的として,変調方式識別法の開発を行った.新たに,受信波の振幅と位相の結合モーメントを用いた識別法を提案した.位相オフセットがある場合に適用できる差分モーメント法,ならびに信号点シフトモーメント法を開発した.識別誤り率を解析的に評価するため,結合モーメントを初等関数の級数形式で導出した.2相位相変調,直交位相変調ならびに16値直交振幅変調を識別対象として,識別誤り率の数値計算を行い,提案手法の有効性を明らかにした.
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