研究課題
基盤研究(C)
本研究は、光ファイバ非線形光学効果の一つである誘導ラマン散乱効果を利用した光増幅器において、増幅に伴い発生する光雑音を低減することを目的とした。明らかとなった研究成果の概要は次のとおりである。1.光ファイバラマン増幅器利得における偏波面依存性DSF50kmとSMF100kmの光ファイバにて分布型増幅器を形成して実験を行った。(1)信号光と励起光の偏波面の相対位置を変化しても、光ファイバ長を10km以上伝播すれば、利得変動は0.5dB以下となる。(2)上記伝播において信号光と励起光の偏光度は50kmにわたり保持されるが、両光の偏波面角度差は保持されず、平均化される。これが、偏波面依存性を減少させる原因である。(3)これらの結果は、リールに巻かれた光ファイバでは、曲げ応力によるわずかな屈折率異方性を持つが、この屈折率異方性が波長の異なる信号光と励起光に異なる偏波面回転もたらすためによるものであると推察される。2.光ファイバラマン増幅における多重コネクタ反射雑音光光コネクタ問の多重反射による雑音光の発生について、理論と実験の両面から定量化を試みた。(1)数値計算の結果、コネクタ間での多重反射による雑音光の発生は、ラマン増幅利得が6・5dBの場合は信号光パワー比で16dBまで許容されるが、20dBとなると、27dBが限界となることが明らかにされた。(2)実験では、増幅利得が6.5dBにおいてコネクタ反射光パワーが13.7dBの最悪値においても反射光は観察されないことから、計算結果が裏付けられたと考えられる。今後は、増幅利得が20dB程度を達成した上で、反射雑音光パワーの計測とその低減方法を研究する。
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FIBER AND INTEGRATED OPTICS 24・5
ページ: 445-456
FIBER AND INTEGRATED OPTICS Vol.24, No.5