研究概要 |
生産スケジューリング業務は,対象とするプロセスや設備等の環境,製品需要や原料供給の構造などに従って著しく異なってしまう。そこで,生産スケジューリングシステムの開発は,現在,個々の対象に対して個別に行われる場合が多い。そのために,システムに対する多大な初期開発投資が必要となっている。このような問題点を解決するためには,個々の対象に対し個別にシステム化を行う従来の手法から脱却し,システム開発の方向性を変えた新たなパラダイムを創出する必要がある。そこで,本研究では,日常の生産スケジューリング操作を通じて,システムが自らスケジューリング手法を習得する自己構築型の生産スケジューリングシステムの構築を研究の最終目標としている。 今年度は,種々の業種のスケジューリング業務に対応するこのようなシステムを開発するための初期段階として,紙面上のガントチャートにおける生産スケジューリング業務を模擬しユーザの操作形態を抽出できるガントチャートインタフェースシステムの開発を目的とした。本システムを開発するにあたって,まず,種々の業種のスヶジューリング業務について考察を行い,このような業務を行うための基本機能の抽出を行った。そして,その基本機能を実現するガントチャートインタフェースシステムを開発した。そして,現実的な生産プロセスに対して本システムを適用し有効性を確認した。 本研究成果は,情報処理学会の特別トラック「経営に貢献するIT」で発表を行った。また,来年度8月にイタリアで開催される国際会議ICPR(International conference on Production Research)いても発表することを予定している。 来年度は,更に異なる種々のプロセスに対して適用し評価を行い,基本機能の拡張および操作履歴に基づく学習機能について検討を行っていく予定である。
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