音叉型水晶触覚センサの基底部の運動をモデル化するために、基底部に縦振動を考慮して音叉型水晶振動子の周波数解析を行った。屈曲振動と縦振動は通常は絡まないので、捻りバネを含めたモーメント釣り合いと回転角の境界条件を使って固有値方程式から周波数を、求めて実験値と比較した。本研究で提案した新モデルにおいても音叉型水晶振動子の周波数が実測値と一致するには基底部に捻りバネを導入する必要があり、音叉型水晶振動子の基底部の運動を表現するには捻りバネが必須であること、今回求めた周波数の計算値が実測値と±3%以内の精度で合うことから曲げ剛性で割った捻りバネ定数の逆数Lは基底部の中の節の位置を近似的に表していること等が分かった。この屈曲振動の節の位置の計算による特定はより高安定な音叉型水晶触覚センサを製作する上で必要な情報である。音叉型水晶触覚センサで人工皮膚としての硬さの違うシリコンゴム8種類で接触実験を行った。まずゴム硬度計の値や音響インピーダンス(密度ρと音速Cの積)に対する音叉型水晶触覚センサのインピーダンス変化を調べた。ゴム硬度計や音響インピーダンスの値が大きくなるとインピーダンス変化は増加し、両者とも2つの傾きの異なる直線関係で表せた。ゴム硬度計は中に組み込まれた触子である針がゴムを凹ませる量からゴム硬度を測定している。粘弾性体であるシリコンゴムでは複素ヤング率で粘性率も含めて考慮する必要がある。回転粘弾性計でシリコンゴムの動的剛性率と動的粘性率を測定した。この複素ヤング率を使って求めた音響インピーダンスに対するインピーダンス変化の直線関係を調べるとヤング率だけよりも直線性が増すことが分かった。
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