研究課題
基盤研究(C)
本研究では、意思による脳波の変化を読み取ることにより、身障者が利用できる新しいコミュニケーションシステムを構築することを最終目的としている。平成16年度〜18年度の3年間で、以下のような2つのプロジェクトを平行して執り行った。1.周期的な閃光刺激に対する脳波の非線形応答特性2.意識集中によるα波の振幅抑制の同定1.は健常者のα波の数理モデル化と発現メカニズム解明のための基礎的知見を得ることを狙ったものであり、閃光刺激の色や周波数を変えたときの脳波について、位相応答を中心に調べた。2.は意識集中によるα波の振幅変化(抑制)を安静時α波の自発的な変化と分離・判別することにより、α波によるコミュニケーションの可能性を調べるものである。被験者に暗算や記憶想起、暗記、視覚イメージングを行う課題を与えて、意識を課題に集中させたときのα波の振幅変化を解析した。特に、(1)α波の抑制を誘発しやすい課題の探索、(2)意識集中によるα波の抑制を正しく判別する方法について検討を行った。その結果、1・2.のそれぞれで、以下のような結果が得られた。1.(1)波長の離れた2色の光刺激が交互に与えられたとき、頭部全体のα波が同相同期する。(2)刺激周波数がα波帯域(8〜13Hz)にあるときに脳波の応答が最も強く、時間空間的にも安定したリズムが現れる。α波の引込みがこの刺激応答に強く関与している可能性がある。2.(1)α波の振幅を抑制しやすい課題は暗算および記憶想起であり、意識集中状態の認識率は、(被験者全体の)70%〜85%である。暗記や視覚イメージングは認識率が60%以下に留まる。(2)意識集中状態の判定に確率論を応用した振幅の評価方法を導入した結果、安静時の振幅ゆらぎと課題実行時の振幅抑制を分離することが可能である。以上、α波によるコミュニケーションシステム開発の上で有益な知見を得た。
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