研究課題
本年度は、まず基礎的な研究として、ダイナミカルシステムの状態空間の部分集合となる不変集合の解析問題および摩擦システムの同定問題を考察した。不変集合は、ダイナミカルシステムの状態がその中に一旦入れば、その時刻以降は、その内部にとどまり続けるという性質をもつ集合である。ハイブリッドシステムの振る舞いを見るときには、不変集合をうまく解析できると都合のよいことが多い。まず本年は、不変集合として基本的となる最大出力許容集合と可到達集合の性質を調べた。その結果、対象が線形システムであるときには、これら二つの集合は互いに極集合の関係にあることがわかる。この性質を利用することによって、最大出力許容集合と可到達集合の外側からおよび内側から近似する方法を提案した。この方法は有限手数で求めるアルゴリズムとなっている。なお対象システムは離散時間システムであっても連続時間システムであってもよい。次に、摩擦を含むシステムに関して、その同定問題の動向を調べた。一つには摩擦モデルを仮定し、その中に現れるパラメータと推定しようとする方法がある。また摩擦力は、運動速度が零付近で物体の運動に顕著な影響を与えるが、入出力データから摩擦力の大きさを推定すること方法を調べた。パラメータ同定の方法としては、入出力データから適当な信号変換をして、冗長な代数方程式を生成る方法などがある。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (3件)
Proceedings og the 43rd IEEE Conference on Decision and Control
ページ: 2686-2691
Proceedings of the 10th IFAC/IFORS/IMACS/IFIP Symposium on Large Scale Systems : Theory and Applications
ページ: 407-412
計測自動制御学会論文集 40,8
ページ: 842-848