研究課題
基盤研究(C)
適応観測器を用いた連続時間モデル同定手法の基本的な構成を提案した。有限長のサンプル値データから、連続時間伝達関数モデルの係数を推定する問題として定式化した。通常の離散時間モデル同定との相違点として、サンプル点間応答に関する情報が欠落し、エイリアジングの問題が発生する点と、連続時間系では有限整定観測器の構成が複雑となることから、伝達関数の係数だけでなく、サンプル点間応答と初期状態も同時に推定する手法を提案した。サンプル点間応答の推定のために、適応観測器を用いて推定された出力を利用する、繰り返し形のアルゴリズムとなっている。つづいて、連続時間フィルタとして実現されていた状態変数フィルタを離散時間フィルタとして実現する方法を中心に研究を行った。離散時間フィルタは時不変フィルタとなることから、理論的な解析の見通しが良くなり、次のことが明らかになった。(1)サンプル点間応答の推定機構が含まれるため、状態変数フィルタの出力は擬似回帰ベクトルとなる。(2)逐次最小2乗法を繰り返し適用する提案手法は、ブートストラップ法に対応している。(3)擬似回帰ベクトルのPE性と状態変数フィルタの安定性の仮定のもと、ある実用的な条件下で提案手法は縮小写像となり、パラメータ推定値の極限が存在し、パラメータ推定値はその極限に指数収束する。(4)パラメータ推定誤差の大きさの一つの上界は雑音の標準偏差に比例している。最後に、確定的な議論を中心に進めてきた連続時間モデル同定手法の開発を確率システムとしての枠組みで定式化し直し、推定パラメータの誤差分散の確率的な解析やそれに基づいたより効率的な推定手法の提案を中心に行った。確率システムとして定式化する主な目的は、一致性や有効性といった推定精度の向上である。
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すべて 雑誌論文 (16件)
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