研究概要 |
本研究の主要テーマは,Max-plus代数に基づく制御系のロバスト性に焦点をあて,Max-plus代数に基づくシステム制御手法に対するロバスト制御理論を新しく構築するとともに,新しく開発するシステム制御手法を在庫管理問題や設備管理問題などの経営工学上の問題に応用することを試み,システム制御手法の適用範囲を拡大することを行なうことである. 平成16年度では、以上の目的を実現するために、max-plus代数によるモデリング手法に選択パラメータを付加した手法およびその手法の計算量の改善という研究で成果をあげるとともに,経営工学問題への応用を行なう準備として,現状の在庫管理手法をより現実的な問題設定に対して適用可能なように改善した二項・切断正規分布に対する安全在庫およびB1モデル在庫手法の提案というテーマで研究成果を挙げた. 平成17年度では、経営工学問題への応用を行なう準備として,max-plus代数に基づく制御手法の重要な応用対象になると考えられる在庫管理問題において,時系列予測手法の改善を行なった在庫管理手法に関して研究成果を挙げた.同様に,設備管理問題において,連続組み立てラインとセル生産方式の性能比較を在庫管理手法を用いて行う手法を与える研究成果を挙げた. 平成18年度では,max-plus代数に基づく制御手法として代表的なモデル予測制御手法において,状態フィードバック制御によるロバスト特性の解析を容易にするために,時間駆動で記述される等価な制御則の導出を行ない,フィードバック制御によるロバスト性解析を進める基礎が確立した. さらに,経営工学問題への応用として,後続ジョブとの資源非競合性を考慮したオンラインスケジューリング方法を与えた. 本研究により,所期の目的であるMax-plus代数に基づく制御系のロバスト性および経営工学問題への応用に関する研究の基礎を与えたといえる.
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