研究概要 |
昨年の2月には京都議定書が発効し地球温暖化防止対策は緊急の課題となっている.建設関係でも資材製造によるCO2排出量は日本全体の物質使用量の約32%を占めている.廃棄物についてみると産業廃棄物総量の20%は建設廃棄物であり、そのうちコンクリート塊は42%に達している.今年度は主に次の項目に焦点をあてて検討した.すなわち、(1)コンクリートの品質とLCCO2,(2)補修工法や解体・撤去とLCCO2、(3)LCCO2とLCCの相互関係、である. これらの項目に関して、RC構造物の劣化予測や建設から解体・撤去にいたるインベントリー分析を実施し、かぶりと呼び強度を因子としたLCCO2とLCCを算定した.劣化予測は塩化物イオンの浸透による鉄筋腐食による構造体の変状を考え、かぶりは7〜12cmの範囲、コンクリートの品質は21〜36N/mm2の範囲を設定して計算を実施した.LCCの計算の過程では、LCC結果に大きな影響をおよぼす割引率に関してモデルを構築した.LCCO2とLCCの相互関係については、統合化手法として環境効率指標を用いる方法、国土交通省の「総合評価入札方式」の考えを応用した方法、環境税により環境影響をコスト化する方法、などを基として検討を加えた.本研究から、LCCやLCCO2の統合化手法の相違によって評価結果が異なることがあり、環境影響評価などにさらなる検証が求められることとなった.
|