研究課題
地震により生じる液体貯蔵タンクの被害を防止するため、免震液体貯蔵タンクにおける免震支承の弾塑性履歴復元力特性とダンパーのエネルギー吸収性能を利用して液体貯蔵タンクの地震時スロッシング応答を低減する手法を検討した。特に、セミアクティブダンパーに対する新たなセミアクティブ制御手法を開発し、これを適用した場合のスロッシング低減効果を数値的に検討した。また、開発したセミアクティブ制御技術の実験的検証のための実験システムの整備を行った。開発したセミアクティブ制御手法は、Bouc-Wenモデルを利用して算出される履歴型復元力と擬似的な負剛性、および速度反転時の推移項を組み合わせたアルゴリズムであり、小振幅応答時にも制御性能が確保されること、大振幅時における最大加速度と最大荷重を制限することが可能であること、残留変位の問題を生じないことなどの利点を有している。このセミアクティブ制御手法を用いた免震液体貯蔵タンクモデルの地震時応答を、数値モデルを用いて検証した結果、特に長周期成分によりスロッシングを生じさせやすい入力地震動の場合に効果が大きく、従来型のパッシブダンパーのみの場合よりも優れたスロッシング低減効果を発揮することが示された。さらに、可変サーボバルブを有するバリアブルダンパーを用いたセミアクティブ制御システム、および動的応答制御計測実験システムを構築し、予備実験により本制御アルゴリズムの性能の実験的検証が可能であることを示す結果が得られた。
すべて 2005 2004
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Proc.International Symposium on Earthquake Engineering Commemerating 10th Anniversary of Kobe Earthquake (印刷中)
第3回日本制震(振)シンポジウム論文集
ページ: 179-189