研究概要 |
平成16年度の研究内容及び得られ知見等を交付申請書の研究計画に対応させて記載すれば以下のようである. 1.3つの地震動グループ;1)道示推奨の動的解析用レベル2模擬地震動,2)最大地動の距離減衰式を満たすレベル2模擬地震動,3)兵庫県南部地震の観測記録(No.3)より選定した実地震動グループに属する各12波を選び,修正Parkらの損傷指標Dの所定値Drを満たす損傷制御型の加速度・変位・加速度-変位応答の(平均値+標準偏差)スペクトル求めた.その結果,つぎのようなことが明らかとなった. (1)2)及び3)の地震動では,固有周期T=0.4〜0.7秒の範囲を除き,1)の地震動に比べて,各スペクトル値が異なり,これらの地震動を橋脚の設計等に用いる場合には,何らかの調整が必要である. (2)各実地震動グループとも,T≦0.7秒では,完全弾塑性型Bi-linearモデルとQ-hystモデルとの各スペクトル値の相違は,後者の加速度が少し大きくなるものの,顕著ではない.また,損傷指標Dの所定値Drと系の終局変位靱性率μ_uが大きくなると,変位のスペクトル値はあまり変わらないが,加速度の値は小さくなる. 2.RC門型ラーメン橋脚に対する等価1自由度系の固有周期とこれより求まる最大変位は原形のそれらと非常に近い値となる.したがって,RC門型ラーメン橋脚の耐震設計はこれをそのまま1自由度系として設計できる. 3.現行道示の力に基づく耐震設計法における構造物特性補正係数C_sを変位塑性率μ_dのスペクトル値と関係づけることにより,現行法と同じ手順で,設計地震力と系の最大変位応答値S_dを同時に満たす修正現行法,すなわち力及び変位に基づく設計法を提案した.そして,現行法と提案法による単柱式RC橋脚の設計結果をもとに,提案法では,現行法に比べて,粘りのある(終局変位塑性率が大きい)設計ができることを示した.
|