研究概要 |
高度経済成長期に集中的に建設されたわが国の各種社会基盤構造物の多くが高齢化を迎え,近い将来には,維持更新費が総額でも減少する公共投資額の内でかなりのシェアを占めると見込まれている。また,今後に新設される構造物の建設にあたっても,長寿命化を見据えたライフサイクルコスト評価に基づくコスト縮減が必要不可欠との認識が一般化されている。そのためには,従来の主要建設材料である鋼材とコンクリートの品質改善や複合化はもとより,繊維強化プラスティック材などの新素材の積極的な活用を図り,高機能で耐久性に富み,ライフサイクルコストで経済的となる新たな構造材を開発することが不可欠である。 本研究では,近年材料開発の著しい炭素繊維(CFRP)に比べてかなり安価なガラス繊維(GFRP),ビニロン繊維(VFRP)などの複合新素材と既存の鋼材やコンクリート材との複合化による,ライフサイクルコスト評価に基づく経済性,長期耐久性,軽量化,高強度,高靭性などに優れた高性能ハイブリッド構造材の創生をめざしている。 研究期間内に,(1)GFRP補強部材の最適形状および材料設計の究明,(2)人工軽量骨材およびビニロン短繊維の混入による超軽量繊維補強コンクリートの最適配合および力学特性の把握,(3)上記材料を用いたハイブリッド構造部材の模型供試体による耐荷特性の解明,および(4)同載荷実験の解析シミュレーションと断面設計手法の確立,などについて検討を行った。
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