研究概要 |
コンクリート構造物や建築物はメンテナンスフリーではなく、年月の経過により、いろいろな要因で劣化がはじまる.しかし、適切な処置を講ずれば構造物としての寿命を延ばすことが可能である.また,事故を未然に防ぐこともできる.また,コンクリートの内部には数多くの鉄筋や,ケーブルなどが埋め込まれており,改修時などにそれらの位置を性格に把握することは工事をスムーズに進めるために重要である.したがって,コンクリートの内部構造の解明は社会に非常に役に立つ技術であり,早急の実現が望まれている.平成16年度の研究実績を以下に示す. (1)実際に鉄筋あるいは空洞を単独若しくは同時に配置したコンクリートを作成し,コンクリート中を伝搬する電磁波パルスの電搬特性を実測し,コンクリートの内部構造によって受診パルスの形状が変わることを確認した.(2)コンクリートの内部構造を推定するためには,受診パルスの情報だけでなく送信パルスの情報が必要である.そこで,送信アンテナを微小ダイポールと近似し,観測したパルス応答が得られるような微小ダイポールに印加するべき電流源を求めた.(3)埋設物が鉄筋であると仮定することにより,遺伝的アルゴリズムを使って物体の存在だけでなく,物体の正確な位置と大きさを推定することができた.(4)直方体のコンクリートを作成し,その片側に送信アンテナ,反対側に受信アンテナを配置し,受診パルス応答からコンクリートの平均的な比誘導電率と導電率を明らかにした.(5)(4)と同じコンクリート直方体に対して片側に送信アンテナを配置し,反対側の3箇所に受診アンテナを配置した.これらのデータを使ってFBTS法(我々が提案している逆散乱問題の推定アルゴリズム)により,コンクリート直方体を層状媒質と仮定して,コンクリート内部の比誘電率と導電率分布を求めた.
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