研究概要 |
本研究は、薄肉鋼製部材を対象に、その健全性を非破壊検査により評価するための簡便的手法の開発を目的として、薄肉部材内に存在する劣化損傷部分(表面からは目視できない裏面側に存在する腐食部や、表面塗装などで覆われている欠陥など)を、部材表面を伝播する波動の散乱状態の可視化により検出することを考え、実際の非破壊検査手法への実用化を図るための理論的および実験的検証を行うものである。 平成16年度の研究実施内容としては当初計画に従い,劣化損傷部分が存在する薄肉構造部材に振動を与え、その部材表面を伝播する波動の散乱状態を数値計算により解析し、劣化損傷部分周辺の波動場の状況と、劣化損傷の寸法、劣化損傷度合い、入射波特性等との関係を詳細に明らかにした。さらに,これらの数値解析データをデータベース化し、振動法による劣化損傷評価に利用するためのシステムの構築を行なった。 本年度の研究結果より,比較的低周波(数100〜数1000Hz)の振動法によっても劣化損傷部の位置が劣化損傷の度合いにかかわらず同定可能であることが明らかとなった。しかしながら,劣化損傷度合い(健全な母材と劣化損傷部との剛性比)の判定に関しては,数値解析上は可能であると考えられるが,さらに実験において検証する必要があるとの結果となった。 実際の劣化損傷の検知計測を想定した数値シミュレーションより,本手法の有効性が十分確認され,実際の実験値と比較するための数値解析データの蓄積がなされた。
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