| 研究概要 |
強い地震動に対する,不均質・不整形な表層地盤の液状化を含む非線形特異応答特性を把握し,これに基づくライフライン地中構造物の被害予測手法及び被害軽減のための対策手法の開発を目的として,阪神淡路大震災による被災地区の表層地盤モデルに対して,レベル2地震動を入力とし,既開発の有効応力解析プログラム「NUW2」により地震応答解析(有効応力解析)を実施した.地表面応答の空間分布特性から地盤の非線形特異応答性状を把握し,これらと地中構造物の被害分布との関係について検討した.その結果,山側の不整形地盤部近くでの加速度応答の集中地域と地上構造物被害の大きかった震災の帯とが対応すること,また沿岸部付近での液状化によるひずみ応答の集中地域と管路被害分布とが対応することなどを確認した.
次に,地盤の特異応答入力に対するライフライン地中構造物の応答特性把握を目的として,弾性床上のはり理論と応答変位法に基づいた解析プログラム「PIPE」に加えて,弾性波動論に基づく動的解析法の開発を行っている。今後,管体の変形や継手部変位・断面力に関する数値計算を実施する予定である.
一方,国内で発生した地震によるライフライン構造物の実被害データの被災要因分析により,ネットワークシステムの被害率予測データとして整理し,これとモンテカルロシミュレーションに基づく信頼性解析手法を用いて,ネットワークシステム全体の耐震信頼性についてモデル解析を実施した.今後,パラメトリックな分析を予定している.
さらに,常時の上水道施設の維持管理手法をベースとして,被害軽減のための対策を実施した場合のライフライン施設への効果の検討を試みている.
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