研究概要 |
ベンダーエレメント(BE)試験の標準的な試験方法を提案するために,共通試料・共通試験仕様による国際一斉試験結果の取りまとめを行った。さらに,種々の土質材料に対してBE試験を行い試験法の適用性を検討した。 1.BEを用いた国際一斉試験の取りまとめ 欧米,アジアの11箇国23機関から一斉試験の報告が行われた。その結果,以下のことが明らかにされた。 (1)圧密容器など剛な境界を有する装置を用いた場合バラツキが大きい。 (2)飽和試料よりも乾燥試料の方がバラツキは大きい。 (3)伝播時間の同定法に関して時間領域の同定法であるstart-to-startやpeak-to-peakではバラツキが小さいのに対して,スペクトル解析など周波数領域の同定法ではバラツキが大きくなる。 上記の結果から,さらに試験結果を詳細に検討した結果,データのバラツキの原因は,受信波形のノイズの影響,出力値や分解能が低いことなどから,せん断波の受信点を正確に読み取れない理由によるもので,適切な測定法を行った場合には,繰返し載荷試験など他の試験法での結果よりもはるかに精度の高い結果が得られることが明らかにされた。 2.他の土質材料との比較 種々の砂質土と粘性土を用いて,擬似弾性係数の異方性を調べた。その結果,以下のような結論が得られた。 (1)砂質土では,異方性の影響は少ないが,扁平な粒子ほど堆積面に平行に伝播・振動するせん断波から得られたせん断弾性係数は,他よりもやや高くなる。 (2)粘性土では,砂質土よりの異方性が高く,また,粘土分や粘土鉱物が多いほど異方性が高くなる。 (3)自然堆積粘土よりも人工的に予圧密して作製した試料の方が異方性は高い。 (4)砂質土では応力状態の異方性が,粘性土では応力状態の異方性よりも堆積構造の異方性の方が弾性係数の異方性に及ぼす影響は大きい。
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