研究概要 |
本研究は、粒状材料の微視構造を導入した「粒状供試体の6自由度試験数値シミュレータ」の開発と、これを用いた静的および動的状態にある粒状材料の構成モデルの検討を目的としている。 この目的のため、本年度は、まず、研究代表者がこれまで開発した静的コード「粒状要素法」を発展させ,小規模ワーキングステーション上で粒状体一般載荷試験シミュレーションを実施するための静的シュミレータを完成させた。このシミュレータを用いて、球状領域に充填した粒子集合体モデルの多方向載荷試験シミュレーション、および、各載荷方向の一定せん断応力レベルにおける応力プローブ試験シミュレーションを実施し,粒状体の弾塑性応答の考察を行った。その結果、従来の塑性論により説明できる塑性応答とは一般に異なる塑性変形挙動が観察され、従来の塑性論の限界が明らかとなった。このことから、粒状体の一般的構成則は塑性挙動に寄与する多重メカニズムを考慮した増分非線形モデルを導入する必要があることが結論として得られた。 一方、動的シミュレータに関しては、静的解析アルゴリズムに慣性項と粘性項を加えた動的解析アルゴリズムの検討を進め、3次元小規模要素に対して動的せん断流れを解析するためのコードを試作し、応用を試みた。境界条件はせん断壁間の距離を一定に保ち、流れに直交する残りの一つの方向の距離を変化させるタイプとせん断壁間の距離を変化させ、残りの一つの方向の距離を一定に保つタイプの2種類のコードを試作した。距離を可変とした方向の拘束圧を種々変化させてパラメトリックな解析を行った結果、低拘束圧・高速度時に衝突性の粒子間作用が卓越する動的挙動、高拘束圧・低速度時に摩擦性局所化せん断が卓越する静的挙動がみられ、試作したコードの動的解析アルゴリズムの汎用性を確認することができた。
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