落石や土石流、交通衝撃など、衝撃的な荷重が構造物に作用するケースが少なくないが、現時点では、衝撃荷重を受ける地盤構造物の設計手法が確立していない。従来実施してきた落石、土石流、道路フェンスへの車両衝突などの現場実験や、重錘落下の衝撃載荷試験、衝撃載荷の三軸圧縮試験結果に基づいて、衝撃荷重を受ける地盤構造物の合理的な設計手法を開発することを目的とする。1)研究代表者らが従来開発した2次元の衝撃応答解析プログラムを3次元に拡張し、検証を行った。2)1)のプログラムは衝撃時の地盤の応答の表現は可能であるが、地盤構造物の全体的な破壊を表現するには十分ではないので、研究代表者らが従来開発した2次元の地盤構造物の破壊を表現するプログラムを3次元に拡張し、破壊のモードや、破壊に対する安全性の表現方法を開発した。3)従来行った多数の現場実験のうち、道路フェンスへの車両の衝突を想定した模型実験を対象とし、室内模型実験と、1)、2)のプログラムを用いた数値解析を行った。車両の衝突により、道路フェンスの支柱から地盤に衝撃荷重が加わる現象について、支柱周辺の地盤に補強土工法を用いる場合と用いない場合の実験と数値解析を行った。4)3)の結果から、衝撃荷重を受ける地盤の設計手法を検討し、設計手法の方針を得た。補強土工法を用いた場合には、補強材の引張り抵抗が荷重の一部を負担することで、破壊荷重が大きくなることを示した。以上の結果から、衝撃荷重を受ける地盤構造物の設計手法の基礎が得られた。
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