過圧密を利用した液状化対策工法の効果は十分に把握されているとは言えない。そこで筆者らは以前より、この種の液状化対策工法として載荷盛土工法および地下水位低下工法を想定し、それらによる過圧密効果に関する研究を行ってきた。その結果、(1)載荷盛土工法による方が地下水位低下工法によるよりも過圧密効果が大きい可能性があること、(2)両工法による液状化強度の増加は、過圧密比とK_0値を用いて定式化できること等が明らかになっている。 このような結果を踏まえ、本研究では、(1)両工法が併用された場合、(2)過圧密履歴を長時間受けた場合を想定し、それぞれの条件下での砂地盤におけるK_0値の挙動および液状化強度の増加傾向を明確にすることを目的としている。今年度においては、(1)については、想定される二つの工法の適用順序をすべて変える、6通りの条件で実験を行った。また、(2)については、過圧密履歴を与える前の鉛直有効応力で長期圧密された場合の過圧密効果、すなわち、例えば埋め立てられて時間が経過した後の地盤に対して過圧密効果が発揮されるかどうかについて実験を実施した。その結果、以下のことが明らかになっている。ただし、今回は長期圧密時間を160時間までとした。 (1)両工法を組み合わせた場合のKo値は工法の適用順序に影響を受け、載荷盛土工法における盛土除去過程を地盤内の有効応力が小さくなってから実施する方が過圧密後のKo値はより大きくなる。また、地下水位低下工法における水位上昇過程を最後に行うと、過圧密後のKo値は小さくなる場合がある。(2)過圧密による液状化強度の増加、すなわち過圧密効果は、過圧密後のKo値と過圧密比の値で決まってくる。(3)長期圧密履歴を受けてからの過圧密効果は圧密時間が長いほど大きくなるが、長期圧密による過圧密効果の増加量は圧密時間が長くなるほど小さくなる。
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