TLM逆伝搬アルゴリズムの開発(加川・若槻) 本年度はTLM逆伝搬アルゴリズムの基礎となるTLM空間における波動伝搬特性の検討と改善を行った。これまでに提案されているTLM逆伝搬法では、伝搬空間を取り囲むような吸収境界を考え、すべての境界上における音圧データを逆伝搬に用いていたが、地下探査において取得できるデータは、地表及び対象領域の側方に設けたボアホール内に限定されており、既存のアルゴリズムを用いるためには、データが不足することが考えられる。また、あるひとつの境界上においても実際には取得可能なデータの個数は限られる。 ここでは逆伝搬に用いる境界をできるだけ少ない取得データより逆伝搬により地下探査が高精度に行えるようアルゴリズムを検討した。また、TLM空間上の波動伝搬において吸収境界では完全に無反射となることが望ましいが、現在のところ完全無反射となるアルゴリズムは開発されていない。そこで、できるだけ反射が小さくなるような境界条件を実現するべく、損失を持った完全整合層(PML)を用いることを検討した。これにより、従来のインピーダンス終端による境界条件に比べ、約10倍程度の改善を実現した。
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