研究概要 |
平成17年度前半は、土中への灯油および重油の浸透ならびに保持特性に関する室内実験を継続した。その過程で、漏洩油の土中輸送における土の有効間隙部分の定量的評価ならびに土粒子への吸着特性に関し別途系統的な実験を実施し、カラム試験のような鉛直一次元浸透条件に対し、累積流出間隙体積に基づく輸送特性の評価法についての研究成果を論文として発表した。続いて、各種洗浄剤による油汚染土の浄化実験を行い、浄化効率を比較検討した。洗浄剤には、界面活性作用および気泡連行作用をもつ過酸化水素(濃度0.5%)、水酸化ナトリウム(0.1%),ケイ酸ナトリウム(1%,5%)を使用した。カラム試験と連携した洗浄実験では、いずれの洗浄液でも灯油については70%以上の浄化効率が得られたが、過酸化水素は油回収率90%近くと非常に高い浄化効率を示すことが確認された。また、一定回収率達成に要する洗浄液の必要量に関しても、過酸化水素は0.4PV(累積流出間隙体積)と少なく、洗浄液の土中への供給に時間を要するものの、他の洗浄液に比して経済的であることが確かめられた。さらに、攪拌洗浄実験(室内洗浄プラント)による油汚染土中の油分回収率については、重油汚染ロームに対する過酸化水素(0.5%)の適用が最も効果的であることが判明した。以上、油による地盤環境汚染機構とその浄化対策に関する2年間の研究成果を研究報告書に取りまとめ、別途報告する。
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