研究概要 |
(1)酸性硫酸塩土のように遊離鉄を多く含有する建設発生土を石灰で安定処理する場合には,種々の水酸化鉄生成にともなう「吸水反応」や鉄酸化物生成にともなう「脱水反応」,さらに,貝殻由来炭酸カルシウムの溶解にともなう「炭酸ガスの揮散」などがもたらす含水比の変化を考慮に入れる必要がある. (2)試料土単体のCBRにpHの違いによる顕著な差は認められないものの安定材添加後のCBRにはpHの影響が明確に現れ,酸性硫酸塩土のCBRは非酸性土の1/2〜1/4となる.また,安定処理した酸性硫酸塩土,非酸性土の養生180日目における一軸圧縮強さを比較すると,前者は後者の1/10程度となる.このような結果が得られた原因として,酸性硫酸塩土では添加した安定材の大半が中和作用(硫酸カルシウムの生成)に消費されてアルカリ雰囲気の低下を生じ,珪酸石灰水和物やアルミン酸石灰水和物が生成されにくくなることが考えられる. (3)径2mm未満に粉砕した牡蠣殻を混入した酸性硫酸塩土の締固め特性に殻の径,形状や量はほとんど関与しない.さらに,殻を混ぜてから締固めるまでの時間間隔が異なっても最適含水比,最大乾燥密度の変動は小さい. (4)懸濁液法によるpH測定において,粉砕殻を混入した酸性硫酸塩土における中和の進行速度は殻の径や形状に関連をもち,粉粒であるほどpH=7に達するまでの時間は短くなる.
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